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stellatram思い出語り #2

stellatram思い出語り #1の続きです。


PARADIGM SHIFT ~cenjue innna, cenjue ciel~

(スクリーンショットは下記URLより引用、以下同)

http://stellatram.s602.xrea.com/paradigm-shift/

2014年10月公開。オリジナルの双子レーヴァテイル、アデルとイリヤが登場するアルバムです。

スクロールしたときの見え方に特徴があります。当時流行っていたパララックスというやつです。奥行きを感じられる、コスモスフィアを覗き見ているような雰囲気が良くないですか? ただ、今の時代にスマホで見るとズレが大きく見づらいかもしれません、お許しください。

うやまさんのイラストにテンションが上がり、バナーをたくさん作ってしまいました。

静寂の国から

  • Comp: aim
  • Lyrics: Fu
  • Vocal: 月宮瑠璃華

しじまのくにから。リューンのCS曲その1。CS曲の歌詞はWEBサイトの購入者特典「精神世界BGM歌詞」からご覧いただけます。

CS曲は、歌詞として幾つかフレーズを用意して、作曲さんに取捨選択していただくという流れでした。マシマシのリバーブで響く瑠璃華さんの謳声が大変よき。水中で聞いているような気持ちになれます。チャプチャプ……ゴボボ

公式ではリューンの設定がほとんどないため、stellatramのリューンということになりますが、これが本当に星詠になるのか……? という不穏な雰囲気。

リューンは優れた「道具」ではあるものの、人格を備えた存在ですから葛藤はあります。精神世界の上っ面は余裕綽々に見えますが、深層は大変なことになっているのです。歌詞をご覧いただくとお分かりになると思いますが、「私」と称するリューンと、それを「彼女」と呼ぶリューンの二人が存在します。自己を分割することで精神の均衡を保っているのですね。

彼女のCSを満たす「水」もまた、二面性を備えたモチーフです。安らぎや母性を感じさせる一方、冷たさや閉塞といった厳しい側面も持つ諸刃の剣。水に生まれ水に還るβ純血種にとっては、生死そのものとも言えます。だからこそ、リューンはいのちの根源に迫る詩を謳えるのかもしれません。

幽冥の底から

  • Comp: aim
  • Lyrics: Fu
  • Vocal: 月宮瑠璃華

ゆうめいのそこから。リューンのCS曲その2。打って変わって非常に危うい雰囲気です。

いや~、パーカッションがドンドコドンドコしたと思ったら響き渡る「WAS YEA RA CHS HYMMNOS MEA」がかっこよくてェ……! CSにダイブしてこれが聞こえてきたらさぞや怖かろう。歌詞に「ar tonelico」を入れるのもやりたかったことのひとつです。

CSの深いところ、境界門の向こうにはレーヴァテイルの共通意識野が広がっていますが、リューンの精神も否応なくその影響を受けたはずです。人とレーヴァテイルが争い、やがてはレーヴァテイル同士が争い、ミュールが反乱を起こす。でも、詩が消えたわけではないのです。それを謳う喜びも。

EXEC_LUCENTAIL/.

  • Comp: aim
  • Lyrics: Fu
  • Vocal: 月宮瑠璃華

ルーセンテイル。リューンのエクストラクト。レーヴァテイルの共通意識野に鎮静の効果をもたらす詩です。

タイトルは「LUCENT」+「TAIL」です。レーヴァテイル(REVATAIL)のしっぽ(TAIL)、末永く続くもの、流れ星の尾のようなひと筋、そしてリューンのツインテ(?)、色んな意味を込めています。

「わが君」「あなた」は誰なのか? については、特定の正解はありません。この詩はすべてのレーヴァテイルに響くという性質上、聞き手によって解釈が分かれます。「私」と「あなた」に色々あてはめて聴いていただけたらうれしいです。

瑠璃華さんのリューン然とした謳声が心地よく、特に「na harmon」が万感の想いが感じられて好きです。そしてトントンと優しく叩くようなパーカス。決して激しい曲調ではないのに、心に訴えかけてくる力強さ。人生色々ありますが、癒されたいときに聞くと励まされます。

双想 ―歪―

  • Comp: Hull
  • Lyrics: Fu
  • Vocal: ほいみん

イリヤイリヤイリヤそうそう・わいイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤアデルのCS曲その1イリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤCS曲の歌詞は購入者特典からご覧いただけますイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤイリヤ

ヒュムノスはすごくシンプル。想音+動詞だけで修飾がなかったり、否定形が多かったり。「na hieg(泣かないで)」ではなく「fernia(笑って)」とはっきり言えばいいのに、なんだか非効率で空回りしている状態です。レーヴァテイルとしてのポテンシャルを充分に発揮できていないとこうなるんじゃないかと想像します。

ほいみんさんによるアデルの焦燥感に満ちた謳声もいいですが、ちょっぴり見せる少女らしい可愛さがまたいいですよね~。キャラクターのリアルな存在感はこういうところに宿るんだと実感します。

双想 ―正―

  • Comp: Hull
  • Lyrics: Fu
  • Vocal: ほいみん
  • Chorus Arr: ほいみん

そうそう・せい。アデルのCS曲その2。

息苦しい感じが抜けて、想いはまっすぐ。歌詞は一部前曲から引き継いでいますが、それゆえにアデルのスタンスの違いがはっきり出ます。イリヤのことばかり考えていた彼女ですが、ここに至り、目を逸らし続けてきた自分自身と向き合う時です。

アデルのCSのダイブについては小説「天淵の双つ星」をお読みいただければ。kairiさんの描く生き生きとしたキャラクター、特に姉妹のイチャコラがてぇてぇ~。私はアデルが「嘘を、ついてるのね」って呟くシーンが、胸がギューッと切なくて印象に残っています。おねえちゃん……。

EXEC_HYMME_ROAD=ROMANCER/.

  • Comp: Hull
  • Lyrics: Fu
  • Vocal: ほいみん
  • Guitar: カワノマサキ

ロードロマンサー。アデルの詩魔法。「大鐘堂の白い悪魔」と怖れられるボクっ娘のオンステージ!

これがヒュムノス!? という異色のトラックです。「I Miss You」とか英語を入れたのもチャレンジングでしたね。驚かれつつも皆さまには好意的に受け入れていただけて感謝感謝です。想音がいきなり「Nn」なのもあまりないパターンですが、アデルはイリヤ以外のI.P.D.は眼中にないので、やっぱりこうなってしまいます。

カワノさんのギターが歌いまくるのも含め、いかにもって感じ100%なのがたまらない。サイコでポップなラブソング。アデルの艶めいた囁きにドキッとしますが、これ敵を殴る詩なんですよね……こわ……。

kairiさん作の詩の想いは、小説の一番最初、「青い鳥のかご」という章になりますのでよかったらそちらもどうぞ。

アルバム小括

ぱらふとは詩魔法だけでなく、少女たちの精神世界を描く、というコンセプトが面白いです。ジングルから始まって、ドボンとセカイに没入していく。ゲーム本編でも体験した流れですね。

キャラクター設定から始まり、CSやコスチュームなどもメンバーでアイデアを出し合い、うやまさんに描き起こしていただきました。

双子という存在は、古くから神秘性を持って語られてきたモチーフです。不可分の二人として生まれながら、どこかで必ず別々の道を歩む宿命を負っている。純粋な戦闘力はイリヤのほうが高いというのも、下のきょうだいが上に優る神話っぽさがあります。

イリヤは普段は無口ですが、内には豊かな世界観を持っていて、「METHOD_HYMME_LAIDERONETTE/.」も物語調になっていますね。ああ、なぞらえて語るのがこの子の強さなんだと感じます。冒頭の「呪われた」の部分の震えるような息遣いがすごく好きでェ……。ここだけで少女の運命を目の当たりし、グッと来ます。後半の「少女は舞い踊り続ける」のリフレインも、イリヤの戦う姿が浮かぶお気に入りポイントです。

そして「EXEC_FLIP_SEEDING/.」。みんな美星の幸せを願っていたと思います。どうか彼女の純粋な、あまりにも透き通った魂が報われてほしい、と。キャラクターへの思い入れは「祈り」である、という言説を目にして深く感じ入ったことがあるのですが、この曲を聴くと改めてそう思います。祈りが美しく優しく昇華されていく……。


stellatram思い出語り #3に続きます。